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執筆者の写真岸川 能行

アニュアル・カンファレンス2024振り返り

さる11月7日、品川シーズンテラス・カンファレンスにて、「デジタル時代の融合アーキテクチャ」〜 ビジネス、データ、テクノロジーが創る未来 〜」と題し、Iasa日本支部のアニュアル・カンファレンスが開催されました。各界から有識者による4つの講演に、オンライン・オフラインとも多数ご参加された今年のイベントの様子をお伝えします。


 

講演 1. AI・DX時代の価値実現必須スキルとしてのビジネスアーキテクチャ

IIBA日本支部理事、KITネットワークス株式会社代表取締役 藤重 茂 様

株式会社クリエビジョン 代表取締役 塩田 宏治 様


最初の講演はビジネスアーキテクチャがテーマ。前半は塩田様、後半は藤重様のお二人でのご講演でした。AIの進化に伴い、ビジネスアーキテクチャが今後ますます重要になる、というのが塩田様のメッセージです。


クラウドやAIの進展によって、エンタープライズ・アーキテクチャにおいても、プロジェクト・ライフサイクルにおいても、クリティカルパスはビジネスアーキテクチャへシフトしていきます。


つまり「AIが高度化するほど、コンテキストとしてのアーキテクチャが重要になる」と塩田様。まさにおっしゃる通り。AIで代替できない役割、それがビジネスアーキテクトですね。


続く藤重様のご講演は、ビジネスアーキテクチャの様々なドメインから、今回はケイパビリティとバリューストリームにフォーカスします。プロセスを実行するためには、それに対応するケイパビリティが不可欠です。ケイパビリティのオーケストレーションが、ビジネスの成功を左右する鍵となります。


ケイパビリティは中々日本語にしにくい概念ですが、最近ではジョブ型雇用も普及が進んでいることですし、そういうところからでも今後日本のビジネス社会のなかでも一般化が進んで行くと良いなあ、とこれは個人的な期待。


 

講演 2.  データマネジメント視点によるアーキテクチャ考察

DAMA日本支部 理事、KPMGコンサルティング リードスペシャリスト 吉村 泰生 様


ビジネスに続いて次はデータがテーマです。データマネジメントの観点から、アーキテクチャ設計の重要性を吉村様に語っていただきます。


データは企業の重要な資産ですね。資産ですから価値があります。それを左右するのはその構造と意味、というところまではどなたもお分かりですが、問題はそれをどうやって行動に繋げるかですね。


そのような課題の解決に活用できるのがDMBOK。コンテンツはDAMAのホームページからダウンロードでき、引用を明記すれば商用利用も可、とのことなので、どんどん広めて活用をお勧めしたいと思います。


同音異義とか異音同義なんてどこでもお困りの方は多いでしょう。そこでデータモデルを描いてみることで、データの「構造と意味」を明らかにすることで「データで稼ぐ」ことが比喩ではなく現実に可能になるわけですね。AIのビジネス活用などでも正にそう。この辺りは先の塩田様のクリティカルパスにも通じるところがあります。


講演は吉村様の「データの名称と意味の定義に敏感であること」というメッセージで締めくくられます。私もおもわす「そうだ、そうなんだ!」とこぶしを握り締めてしまいました。


 

講演 3.   デジタルアドバンテージを強化するクラウドネイティブ技術とAIの融合

フェンリル株式会社 シニアクラウドコンサルタント   日置 幸宏 様


3番目はアプリケーションを取り上げます。クラウド技術、生成AIといった技術トレンドから、そのような昨今の状況におけるITアーキテクトの立ち位置、そしてその実行に求められるスキルセット (ケイパビリティと呼んでも良いかもしれませんね)と、日置様の博覧強記に裏打ちされた行動力には敬服することしきりです。


RAG (検索拡張生成) は吉村様も取り上げられていましたが、ガートナーによるともうハイプサイクルの頂点だそうで、世の中早く変わり過ぎですね。個人的にはArchiMateでグラフRAGやりたいなあ、なんて思ってましたが、やらないうちにRAGが死語になってしまうかも。でもグラフデータが無くなることはないし、もっとすごい技術がすぐにやって来るのでしょう。それもより安価で。


モノゴトの表層ではなくファクトに基づいて、本質を理解することこそが価値に繋がる。この「ファクトを知りたい・本質を理解ししたい」という内発的要求が大事なんですね。なんといってもここだけはAIでは代替出来ません。


個人的に一番刺さったのは、最後に照会された「新技術の情報収集を止めた途端に老害化が始まる」というモヒカンSlackからのメッセージでした。日置様のおっしゃる通り、いつまでも「変化を楽しむ」心を忘れないようにしたいものです。


 

講演 4. データドリブン経営の観点から見たイベントドリブンアーキテクチャの可能性

Solace Corporation カントリーマネージャー 山口 智之 様


最後の講演はテクノロジーがテーマ、イベントドリブンアーキテクチャを実現するソリューションのご紹介です。


お話を伺うにつれ、自分の考えはなんと呑気なんだろう、と何だか恥ずかしくなってきました。新入社員のエンロールメントに1日2日掛かる、それって意味有るのか?と言われても、「え、ダメなの?」と思ってしまう自分が居るわけです。


日本で失われた30年と呼ばれている年月に、欧米のビジネスは無形の資産からどう価値を生み出すかにこれほど真剣だったのか、と思い知らされますね。無形の資産とは「データ」だけじゃない。もうひとつ「時間」もそうだ、ということに気づかされました。

 

イベントはIasa日本支部の松井代表理事のご挨拶で締めくくられました。イベントのテーマである「ビジネス、データ、テクノロジーが創る未来」は、アーキテクチャを通じた融合によって実現する未来ですね。ビューポイントの違いは色々あれど、「よりよい未来」という思いは共通。なんといっても「アーキテクチャ」は「何らかの意思を以て作られた人工物の内部構造」ですからね。Iasa日本支部が、そんなアーキテクトが流派を超えて交流出来る場になれるよう、精進を続けていきたいと思います。




















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