2023年11月9日に「Beyond Digital Transformation」と題してアニュアル・カンファレンス 2023を開催致します。今回は対面参加とオンライン参加(Zoom)でのハイブリッド形式で開催致します。
本カンファレンスの講演タイトルは、以下のラインナップとなります。
Beyond DT~エンタープライズ・オントロジーの勧め~
システムアーキテクトの重要性とその育成について
新時代のアーキテクトが拓くデジタルアドバンテージへの道
企業の更なるデジタル変革に向けて様々なデジタル人材の重要性が高まる中、ITアーキテクトという言葉を耳にする機会が増えたと思います。ではITアーキテクトに対してどんなイメージや理解をお持ちでしょうか。実はITアーキテクトに対するイメージは組織や人によって異なり、役割やスキルに対する理解も様々であるのが現状です。アニュアル・カンファレンス 2023では豊富な知見と実績をお持ちの方々にITアーキテクトに関してご講演いただきますが、本コラムでは先立って「ITアーキテクトとは何か」について考えてみようと思います。
アーキテクトを直訳すれば「建築家」を意味します。ではITアーキテクトは「ITの建築家」となります。いまいちピンとこないですね。では直訳から離れて意味を定義してみましょう。
筆者が納得できるITアーキテクトの定義は「ゼロベースで抽象化した全体構想を考えて具体的な戦略に落とし込める人」(註1)それを端的な単語で表すのであれば「全体構想家」(註2)或いは「戦略家」といったところでしょうか。IasaではITアーキテクトを「ビジネスのためのテクノロジーの戦略家」と位置づけています。
ITアーキテクトの定義は上記だとして話を進めると、 なぜ、今の時代ITアーキテクトが必要なのでしょうか。それはビジネス環境の変化が加速する現代で企業が成長を遂げるためには、テクノロジーの進化とビジネスの変化に適応する必要があるからです。変化の激しい時代では、既にある問題を1つずつ解決するのではなく、ゼロベースで新たな全体像を構想して本質を捉えた戦略を実行しないと変化に適応できません。(註2) イメージとしてボーリングのピンを浮かべてみてください。右端の10番ピンを狙っても1本しか倒せませんが、1番ピンを狙えば1度に10本倒せます。(註3)それは1~10番ピンの全体像が見えているからこそ、1番ピンを狙う行動に移せるのです。ITアーキテクトは全体像を視覚的に整理し、第三者でも理解しやすい形で示すことで、効率的にステークホルダーとコミュニケーションを取りながら最適な戦略を立案する役割を担います。
ではITアーキテクトは何ができる必要があるのでしょうか。それはアニュアル・カンファレンス 2023にて講演が行われますのでぜひご参加ください。ひとつ挙げるとしたらITアーキテクトは「具体と抽象を行き来できる」必要があります。実現不可能な全体構想や戦略を考えてしまい絵に描いた餅となっては意味がないからです。つまり、実現可能かどうかを見極めて具体と抽象を行き来しながら全体構想と戦略を考える力が必要となります。よって、ITアーキテクトに必要なスキルは多岐にわたります。 Iasaが提唱しているスキルを挙げると以下(5つの柱)となります。(註4)
ビジネス・テクノロジー戦略スキル(ビジネスとテクノロジーのギャップを埋めるスキル)
ヒューマンダイナミクススキル(ステークホルダーのマネジメント、交渉、プレゼンスキル)
IT環境分析スキル(ITオペレーションとガバナンスを実現するために必要なスキル)
デザインスキル(データモデリング、全体システムの構想スキル)
品質属性の分析スキル(品質属性の調整と最適化を行うスキル)
こんなスーパープレイヤーはいないと思われるかもしれませんが、あくまで全体や幹を捉えるために必要な分だけ押さえればよいのです。各スキル全てのスペシャリストにならなければいけないというものではありません。ITアーキテクトの道は限られた人しか歩めないものではなく、どんな方でも新たな視点を楽しむことで歩んでいける道なのです。
その第一歩として、先にも触れましたが2023年11月9日のアニュアル・カンファレンス 2023にご参加していただけますと幸いです。今回は「Beyond Digital Transformation」〜デジタルアドバンテージへのITアーキテクトの新たな役割〜を主題に豊富な知見と実績をお持ちの方々にご講演していただきます。DXに関心がある経営者層から専門職の方まで広くご参加いただけますので、新たな発見と学びの機会にお役立ていただければと存じます。ぜひ、皆様のご参加をお待ちしております。
註)
構想力が劇的に高まる アーキテクト思考、「はじめに」P4
構想力が劇的に高まる アーキテクト思考、「はじめに」P1
構想力が劇的に高まる アーキテクト思考、「第3章.1 アーキテクトのミッション」P91
ITABoK Version2 日本語訳版、「2.1 アーキテクチャの5つの柱」P25
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