top of page

DX推進とデザイン

 今年2023年の11月9日に「Beyond Digital Transformation」と題してアニュアル・カンファレンス 2023を開催致しましす。今回は久しぶりに会場での対面参加とZoomでのオンライン参加のハイブリッド形式で開催致します。


本カンファレンスの講演タイトルは、以下のラインナップとなります。

  • Beyond DT~エンタープライズ・オントロジーの勧め~

  • システムアーキテクトの重要性とその育成について

  • 新時代のアーキテクトが拓くデジタルアドバンテージへの道


 中でもITアーキテクトの育成はDX推進をする中で重要な課題の1つとなるでしょう。ITアーキテクトは単にITスキルを身につけるだけでアーキテクトになれるわけではなくビジネス要求に対しても応えていけることが求められています。このためITスキルだけではなく他の要素も身につける必要があります。本コラムではその中で昨今よく目にするようになった「デザイン」という要素について考えてみたいと思います。

 
・デザインという言葉について

 デザインという言葉は最近だと様々な場面で登場します。BTABoKオペレーティングモデルの概念にも「デザイン」という要素がありますが、業界・業種・職種等でその意味や意図するところが異なるように思えます。一方で根本的に共通している部分もあるように思えます。それほど「デザイン」という言葉が表す概念がある種の観念的に使われる多様な時代なのかもしれません。

 ITの世界の中でもやはり「デザイン」という言葉は様々な観点で用いられているように思います。システム開発の観点で語られる「デザイン」という言葉の中には設計、アーキテクチャ等の意味が含まれる要素が強いように思われますが、グラフィックス技術が絡むような特にUI(User Interface)となると「デザイン」という言葉は絵やビジュアルの要素を強く含むように感じます。もちろんビジュアルデザインも「デザイン」の1つなのですが、ビジュアルデザインはあくまで「デザイン」した結果であって、表層的なものです。見た目が綺麗、かっこいい等というのはもちろん「美的ユーザビリティ効果」という言葉があるようにユーザビリティ向上に貢献する重要な要素です。しかしその根底には価値を定める戦略、価値に必要な要件、要件を実現する構造、それを使うためのタッチポイントや得られる体験価値を定める等を「デザイン」してその上にビジュアルの「デザイン」があるということを理解する必要があります。UIといったビジュアルデザインにフォーカスされがちなものを「デザイン」する上においてもオペレーティングモデルの「デザイン」の考え方は非常に参考になるでしょう。




・人間中心設計

 少し話は変わりますが、「デザイン」には人間中心設計(HCD=Human Centered Design)という考え方があります。これまでは製品やサービスを高機能化することや品質を高めることが製品やサービスの価値に直結していましたが、モノが溢れた現代ではモノからコトへと「人」が感じる価値が移り変わり、よく言われるUX(User Experience)という体験価値を高めることが製品やサービスの価値となるという方向に市場が変化しています。モノからコトへ価値が移り変わるとその価値を体験する「人」が中心であるべきである、という考え方が重要になります。その「人」が将来何を求めるか、何に価値を感じるのか、この予見を正しく定め、その確からしさを評価した上で仕組みを作る人間中心設計が今後の「デザイン」という言葉に含まれる意味になっていくと思います。


・DX推進とデザイン

 昨今叫ばれているDX(Digital Transformation)はデジタル技術で社会の人々の生活をより良いものへと変革することですが、これまで言われていたIT化をさらに進めた考え方です。IT化は例えば紙をデジタル化するとか旧来のアナログ作業をデジタル化するような取り組みが実態でしたが、DXではわざわざ「変革」という言葉が用いられています。DXを推進する過程でIT化を行うため、DXの中にIT化が含まれると言えます。その意味では混同されがちですが単にIT技術を導入することが目的ではなく、デジタル技術を用いてビジネスをいろんな意味で変革することが目的です。このため、何のために何をデジタル化しそれによって何が変革されるのかをしっかり「デザイン」し、その上で具体的にどういうことを行なっていくかを「デザイン」することが重要ではないでしょうか。そしてITアーキテクトも「デザイン」スキルを身につけることによって、よりDX推進に貢献できると考えます。

 

 先にも触れましたがIsaa日本支部は、2023年11月9日にアニュアル・カンファレンス 2023 を開催いたします。今回は「Beyond Digital Transformation」〜デジタルアドバンテージへのITアーキテクトの新たな役割〜を主題に企業の真のデジタル変革に向けて、デジタル人材 (特にITアーキテクト) の重要性とこれから求められるスキル、育成について豊富な知見と実績をお持ちの講演者をお招きしておりますので、DXに関心がある経営者層から専門職の方まで、この機会を是非お見逃し無くご参加下さい。

閲覧数:94回9件のコメント

最新記事

すべて表示

[TABoK紹介シリーズ] "Information Usage"仮訳

BTABoKといえば「エンゲージメント・モデル」ですが、その前身であるITABoKといえは「5つの柱と4つの専門領域」でした。もちろん現在もこれらは全て「コンピテンシー・モデル」としてBTABoKに受け継がれ、さらに加筆修正、新たな項目の追加が随時行われています。今回はBTABoKの「インフォメーション・アーキテクチャ」コンピテンシー・モデル、つまりITABoKでいうところの「インフォメーション・

bottom of page