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BTABoK / Deliverables ~ 成果物 ~

  • 執筆者の写真: 井﨑 学
    井﨑 学
  • 2 日前
  • 読了時間: 3分

 今回はBTABoKのオペレーティングモデル内にある "Deliverables" を紹介します。


「成果物(Deliverables)」という言葉を聞いて、みなさんはどんなものを思い浮かべるでしょうか?

提案書、設計書、ロードマップ……いわゆる「ドキュメント」が最初に頭に浮かんだ方も多いと思います。


しかし、BTABoKが定義する「アーキテクトの成果物」は、それらとは少し違います。いや、かなり違います。

BTABoK, Descisions

BTABoK「Deliverables」のご紹介

 BTABoKの "Deliverables" では、成果物とは「思考を整理し、他者と対話し、前に進むためのツール」であると述べられています。つまり、形式や体裁ではなく、その成果物が誰のどんな行動を後押しするのかが問われているのです。


 これはとても重要な視点です。現場では、完璧に整えられた資料が共有されたとしても、それを見て誰も行動しなければ意味がありません。一方で、ラフなスケッチや会話のメモがきっかけで、チームが動き出すこともあるはずです。BTABoKが言う「成果物」とは、まさに後者のような、行動の触媒としての役割を持ったアウトプットを指しています。


 また、「ドキュメントだけが成果物ではない」というメッセージも強調されています。モデル、意思決定の支援、ステークホルダーへの助言、さらにはワークショップのファシリテーションまでもが成果物になり得るのです。


 では、どうやってそうした成果物を選べばいいのでしょうか?


BTABoKでは、成果物選定のための実践的なガイドラインも示されています。例えば、、、


  • チームの目的やブランディングに合致しているか

  • 実際に使われ、認知されているか

  • 作成や管理のコストが高すぎないか

  • チーム規模やスキルに見合った範囲であるか


このような視点は、アーキテクトに限らず、プロジェクトに関わるあらゆる人にとって有益です。「成果物」という言葉に含まれたバイアスを解きほぐし、自分たちの目的に照らして最適な手段を選ぶ、これがBTABoKの提唱するアプローチです。


そして最後に、私が個人的に最も印象的だったメッセージをひとつ。

「1年以上使われていない成果物は削除せよ」

 このシンプルで強烈な一文には、成果物が本質的に「生きている道具」であるべきという思いが詰まっています。どんなに手間をかけた資料でも、誰にも見られず使われなければ、それはもはやノイズです。思い切って手放し、次に向かう判断もアーキテクトの大事な仕事です。まぁ、せっかく作ったものを手放すのもそれなりに勇気が必要ですが。。。


 BTABoKの "Deliverables" は、成果物を通じてどう価値を生み出すかを改めて考えるきっかけになります。特に「成果物を作る目的」でお悩みの方には一度目を通していただきたい内容です。


 ご一読いただきありがとうございました。


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